60歳からの挑戦。萬古清風に学ぶ、人生後半の起業と家族のカタチ
はじめに──50代からの独立って、アリかもしれない
何か始めたい。でも、何を?
50代って、なんとなく「落ち着く時期」って思われがちだけど。 でも私は、ここから何かを始めたいって気持ち、周りの人を見ていると分かる気がする。
仕事も子育てもひと段落して、ふっと時間ができたとき。 「私、これからどう生きたいんだろう?」って、ふと立ち止まる瞬間、ありませんか?
そんな時、ふと耳に入ってきたのが、ある友人の話でした。
60歳から日本料理店?驚きと、じわっとした感動
貴代子さんという友人。 ものすごくグルメで、どこに行っても味の記憶を残してくるような人です。
その彼女が、元ご主人や息子さんと一緒に、東京・千駄木で日本料理店を始めたって聞いたとき── 驚きと、なぜか胸の奥がじわっと熱くなったんです。
え、そんなことってできるの? 離婚しても、家族として何かを築けるの? しかも、60歳から新しい挑戦?
なんかね。 すごく希望をもらったんです。
自分も、まだまだ何かできるかもしれない。 そんなふうに思えたのは久しぶりでした。
萬古清風という、ちょっと不思議で美しい場所

千駄木の静かな通りに、ひっそりと
東京・文京区の千駄木。
自由が丘からなかなか出ない私にとって、ちょっとした遠出だったけど。
駅を降りて少し歩くと、そこに── 古民家風の、ちょっと変わった一軒家のお店が現れました。
「萬古清風(ばんこせいふう)」
なんだか、詩のような名前でしょう? 意味は、「時代を超えて吹き抜ける、清らかな風のように。」
もう、その時点でなんか良い予感しかしませんでした。
扉を開けると、スリッパの代わりに「靴下」を渡される

ピンポンを押して、中に案内されると── いきなり、靴下。
スリッパじゃなくて「靴下をどうぞ」って。
素敵なタンスに靴下がいっぱい詰まってます。
最初はちょっと笑っちゃったけど、それがまた特別な感じがして。
どうやら、となりが靴下屋さんで。 社長は息子さんのお父さん。 服飾雑貨を扱う会社を長年やってきて、この場所に飲食と物販を融合させた形で新しくオープンしたそう。
スリッパじゃなくて靴下にした理由── 「階段で滑ると危ないから」っていうのもあるけど、 きっとそれだけじゃない。
その一足に価値があるっていう、靴下屋としての誇りも、きっとそこにあるんだと思う。
中は、8席だけの静かな贅沢
2階に上がると、そこには── まるで別宅にお呼ばれしたような、温かな空間が広がっていました。
囲炉裏のようなカウンター。 座ると自然と顔が見える距離感。
お店というより「誰かの家に来た」ような感じ。
静かで、やさしくて、肩の力が抜ける場所。
こんな空間で、日本料理をいただくなんて。 心もお腹も満たされていくのが、わかる気がしました。
離婚しても、家族で一緒に──「チーム萬古清風」のかたち

貴代子さんのすごさ、ちょっと話させて
正直に言うとね、彼女みたいに食に情熱を注げる人って、なかなかいない。
美味しいものが本当に好きで、誰よりもグルメで、 「ここは行っておいたほうがいいよ」って言われたら、絶対に間違いないのが貴代子さん。
そんな彼女が料理の方向性やメニューづくりに関わってると聞いて、 「そりゃ予約取れないわけだ」って納得した。
しかも、息子さんの環くんが料理長。 まだ22歳で、一児のパパなんですって。
若いのに、お寿司屋さんやイタリアンでも修業して。 今は毎朝、自分で豊洲に食材を仕入れに行ってるって話。
若さと努力と、こだわりと。 料理にも、空間にも、彼の想いが滲み出ていて、なんか感動したんです。
「離婚した元夫婦で店を?」なんて、きっと他人は思うけど

でも、彼らはすごく自然に、それをやってのけてた。
元夫婦、親子、奥様も含めて、ちゃんと「チーム」になってるのが伝わってきた。
過去のことにこだわらず、それぞれが「今できること」を持ち寄って、 一つのお店を形にしてる。
なんか、いいなって思ったんですよね。
血縁とか肩書きとかじゃなくて、 「信頼」と「想い」でつながってる。
これからの家族経営って、こういうことなのかもしれないなって。
「靴下と日本料理」の意外な組み合わせが心に残る理由

その靴下、ただのノベルティじゃない
入口のあの靴下── なんとなく渡されたようで、実はとっても意味のあるアイテムだった。
だって、あれは「一生もの」で、破れたら直してくれるんですって。
物を大事にする心とか、 ものづくりへの誇りとか、 そういうものが、あの一足には詰まってるんだなって感じました。
スリッパじゃなく靴下。 たったそれだけなのに、お店全体の空気が、ふっと温かくなる。
異業種の融合って、ちょっと未来的かもしれない
靴下屋さんと日本料理店。
まったく違う業種なのに、同じ場所で、同じ空気をまとってる。
ふだん別々の世界にいる人たちが、 ひとつの空間で、ひとつの時間を共有するって、 なんか、すごく新しい気がしたんです。
「食」だけじゃなくて、「生き方」とか「物の選び方」とか。 そんなメッセージが、しれっと伝わってくるお店って、そうそうない。
しかもそれが、家族の再構築の中で生まれてるなんて。 ちょっと胸が熱くなる話じゃないですか?
「萬古清風」から学んだ、50代女性の起業という選択肢

やってみたい、を止めない
50代になると、何かを始めることにためらいが出てくる。
「今さら?」 「できるのかな?」 「お金も体力も不安…」
そんな声が、心の中でつぶやくけれど。 でも、「やってみたい」って気持ちは、ずっと心にあっていいと思うんです。
貴代子さんの姿を見て、そう思いました。
60歳からでも、家族という形が変わっても、 何かを始めることは、ちゃんとできるんだって。
それって、自分の未来に対する最大のエールだなって感じたんです。
好きな人と、好きな形で働くということ
このお店に行って、強く感じたことがある。
それは、「誰と働くか」「どう働くか」が、ものすごく大事だってこと。
働き方って、もっと自由でいい。
起業って、会社を大きくするとか、有名になることじゃなくて、 自分が心地よく、信じられる人と、やりたいことをやっていくこと。
50代だからこそ選べる働き方。 経験も人脈もある、今だからこそできるスタート。
それって、すごく強いと思うんです。
まとめ──人生の後半に、自分らしい挑戦を
心に風が吹いた夜
「萬古清風」
名前のとおり、心にそっと風が吹き抜けたような夜でした。
あたたかくて、やわらかくて、だけど芯のある時間。
食も人も、すべてが「本物」で。 それでいて、気取らない、押しつけない、ただ静かにそこにある場所。
こんな場所が、こんな人たちによって作られていることが、 なんだか嬉しくて、希望でした。
私にも、あなたにも、まだできることがある
人生の後半って、捨てたもんじゃない。
むしろここからが、本番かもしれないって、今なら思える。
やってみたいと思ったら、小さくてもいいから始めてみる。 自分の好きな人と、好きなことを、無理なく続けていく。
それって、すごく豊かだし、強い。
私も、そんなふうに歩いていきたい。
そして、これを読んでくれたあなたにも、 「まだ、やれるかもしれない」って思ってもらえたら──
それだけで、このブログを書いた意味があると思っています。


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