フローリストの仕入れ、昔と今。選び方のコツとは?
今日は世田谷市場へ——“仕入れは感覚で選ぶもの”
今朝は、世田谷市場へ。
お花は胡蝶蘭の鉢植えを一鉢だけ。
でも今日の目的は、来週のイベントに向けた資材の仕入れです。
ボックスフラワーに使うブラックの箱に、ワイヤー入りのオーガンジーリボン。
花束用のレジ袋、そして「アクアキープ」というちょっと面白いペーパーを調達してきました。



保水ペーパーの裏話
この「アクアキープ」、キッチンペーパーに似ているけれど、まったく逆の働きをするもの。
水を吸うのではなく、“保つ”ためのペーパーです。
お花の茎をくるっと包んでおくと、乾燥を防げるので持ち歩きにとても便利。
ただし、お花がチューチューと水を吸うわけではないので、お渡し後はなるべく早く少し切り戻して、水を張った花瓶に活けてくださいね。
このちょっとした配慮が、花もちに大きく影響するんです。
そして、私のもうひとつの“必需品”
実は、アクアキープのような“吸わない”ペーパーとは逆に、私が家庭で手放せない“吸う”ペーパーもあります。
その名も「シェフロール」。

ちょっと高級なスーパーで見かけることがあるこの商品、私はもう何年も使っています。
お肉やお魚を買ってきたら、すぐにこれで包んで冷蔵庫へ。
すると、驚くほどドリップを吸ってくれて、食材がぐんと長持ちします。
今朝もAmazonをのぞいてみたら、あら?100円値上がっていて、660円になっていました。
「またか〜」と思いながらも、やっぱりこれは外せません。
お花の保水も、お肉の保存も、結局“水分の管理”がカギなんですね。
市場の資材屋さんは、宝の山
世田谷市場の中にある資材屋さん。
そこは、所狭しといろんなものが詰め込まれた、いわば“大人の秘密基地”のような場所。

花器やリボン、ラッピング用品はもちろん、輪ゴムにホチキス、名札、袋、箱…
「え、こんなものまで!?」という発見があるから、ここに来るのが楽しいんです。
昔は、東京堂やディスプレイミュージアム、ギフトショーを巡って歩きまわっていた私。
でも今では、このごちゃっとした小さな資材屋さんで“必要なものだけ”をスパッと揃えるスタイルが、私にぴったりです。
パンフレットを見せてもらえば、東京堂のものも、ギフトショーに出ているメーカーの商品も全部手配できますし、
しかも送料がかからない。
「どうせ市場に行くし、駐車場も無料だしね」と思うと、ここで済ませたくなるのです。
なぜ、市場は東京都が管理しているの?
今朝の市場では、いつも通りたくさんの花が動いていました。
でもふと、思いませんか?
「こういう市場って、なぜ“東京都”が運営してるの?」って。
民間企業でもできそうなものなのに、なぜわざわざ行政が?
今日はそのことを少しだけ、私の視点でお話ししますね。

都が運営する理由①:都民の“食”と“花”を守るため
まずはここがいちばん大切なポイント。
東京都が市場を管理しているのは、都民に安心・安全で新鮮なものを安定的に届けるためです。
たとえば生鮮食品って、ほんの少しのズレで品質が大きく変わってしまいますよね。
お花も同じ。気温や湿度、タイミングで、持ちがまったく違ってきます。
だからこそ、市場にはルールと衛生管理があって、誰が何をどこから仕入れて、どう流れていくかが明確になっている。
「ちゃんと管理されたルート」があるからこそ、私たちも安心して仕事ができるんです。
都が運営する理由②:災害時にも機能する“インフラ”
市場って、実はただの“仕入れの場所”ではないんです。
大きな災害が起きたときにも、市場はすばやく復旧して、都市にものを届ける“ライフライン”として動くよう設計されています。
電気や水道、鉄道と同じくらい重要な“都市の機能”として、市場は支えられているんですね。
民間に任せていたら、きっとここまでの仕組みや備えは整っていなかったと思います。
都が運営する理由③:公正で透明な取引のために
市場には、競りがあります。
値段を決める場面では、「誰が買った・誰が売った・いくらだった」がすべてオープン。
この“透明性”と“公正さ”が、市場の最大の強み。
特定の業者だけが得をすることがないように、そして誰もが平等にビジネスができるように。
これが、「中央卸売市場」としての役割なんです。
実は、法律で決まっている
ちょっとお堅い話になりますが——
この「中央卸売市場」は、国の法律「卸売市場法」に基づいて、都道府県や政令市が設置・運営することになっています。
つまり、「東京都が市場を管理している」のは、そうしなければならないルールでもあるんですね。
市場があってこそ、自由な仕入れも楽しめる
最近は、農家さんからの「産地直送」や、ネットでの仕入れもどんどん増えてきました。
それについては、次の章で触れますが…
私が思うのは、こうした自由な流通ができるのも、ベースとして“市場”がきちんと機能しているからなんですよね。
市場が支えてくれているからこそ、私は自分の感性や判断で、どこから仕入れるかを選べる。
まるで、クラシックの基本を習った上でジャズの即興を楽しむような感覚。
市場は、まさに都市の台所であり、ビジネスの土台でもあるんです。
最近よく見る「産地直送」って、実際どうなの?
ここ数年、「産地直送」という言葉を見かける機会が本当に増えましたよね。
お花も野菜も、「〇〇県の農家さんから直送です!」といったキャッチコピーが並びます。
たしかに、「農家さんの顔が見える」「新鮮なものが届く」「ストーリーがある」など、魅力的に感じる要素がたくさん。
実際、私のような仕事でも、産地から直接お花を取り寄せることはできます。
ただし、すべてを直送に頼ることは、実はなかなか難しいんです。

たとえ「直送」でも、間に業者が入っていることも
「農家から直接届きます」と書いてあっても、物流や決済などのシステムは、実は大手業者が管理しているケースもあります。
つまり「見せ方は直送」でも、実質は市場流通とほとんど変わらないということも。
もちろん、きちんとした農家さんから届く商品はとても素晴らしい。
でも、そこには品質のばらつきや、天候リスク、そして配送トラブルといった現実も存在しています。
資材の仕入れ、昔と今ではこんなに違う
少し前までは、東京堂やディスプレイミュージアム、ギフトショーをハシゴして、あちこち歩き回っていた私。
パンフレットを大量に集め、サンプルを手に取り、テンションを上げて注文。
それが当たり前の時代でした。
でも、ある時ふと気づいたんです。
「結局、東京堂やディスプレイミュージアムの商品って、市場の資材屋さんでも扱っている」と。
“早い・安い・無駄がない”は市場の資材屋さんが最強
今では、欲しいものを伝えればすぐに対応してくれる、あのごちゃっとした資材屋さんが、私の最強のパートナー。
しかも、市場で仕入れれば送料もかからない。
「どうせ市場に来るし、駐車場も無料だし」って思ったら、もう他で買う理由がありません。
ネット注文も便利だけど、時間も労力も意外とかかる。
それなら、顔を合わせて話せて、即答してくれる市場の方がずっと早いんですよね。
チュールを探してAmazonで失敗!?笑
そして最近あった、ちょっと笑える話。
来週のイベント用にピンクのチュールが必要になったんです。
昔なら迷わず、蒲田のユザワヤに行っていたところ。
でも、「ちょっと面倒だな…」と思って、Amazonで「チュール ピンク」と検索してみたら……
出てきたのはまさかの「いなば ちゅ〜る」!笑
「あ、そうか。そっちの“チュール”もあるのね」と、朝からひとりで大笑い。
改めて「チュール 布」と入力したら、ちゃんと欲しいものが出てきました。しかも送料込みでお安い。

ネットは便利。でも、検索のセンスが要るのかも
今の時代、探せばなんでも手に入る。
でも、検索の仕方ひとつで見つかるものも変わるんですよね。
ネットにはネットの便利さがある。
でもやっぱり、布の感触や透け感、光の具合を確かめながら選びたい時もある。
ネットとリアル、どちらかじゃなくて、やっぱり両方を知っていることが大事なんだと思います。
最終章:仕入れは「感覚」と「信頼」でできている
市場での仕入れも、ネットでの検索も。
結局は、「自分が信頼できるルートを、感覚で選ぶ」ことがいちばん大事。
若い頃は、丁寧に陳列されたお店の中を歩きながら、アイデアを膨らませたり、テンションを上げていたけれど、
今は、自分にとって無駄のない・早くて確実な方法が心地いい。
でもどちらにも、「楽しい」がちゃんとあるんです。
市場でのちょっとした会話。
ネットでの予想外のヒット。
どちらも、楽しい!

おわりに
プロとして、「どこから仕入れたか」ではなく、「どう使うか」「どう届けるか」を大切にしたい。
だから私は、今日も市場へ行き、ちょっと笑いながらチュールを検索するのです。
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