ユディトを花で描く|絵画コースのフラワーレッスン体験記・自由が丘 フラワーアレンジメント教室

フラワーアレンジメント

ユディトを花で描く|絵画コースのフラワーレッスン体験記

美しくて強い“あの女性”が、花の中に立ち現れる日

動画はこちら⇦

月に一度の特別な日。
貴子先生の絵画をテーマにしたフラワーレッスン、
絵画のコースを2周されています。

今回は、クリムトの回。

1周目は接吻をテーマに作成されました。
クリムトといえば、ゴールド。オンシジュームを踏んだんに使いました。


この時も、もうクリムトの絵の展覧会に置きたくなるような
アレンジメントでした。

この日、先生の選んだ題材は――グスタフ・クリムトの《ユディトII》
言わずと知れた、あの「男の首を切った美しい女」の物語です。
よく見てください。手に首を切った頭を持っているのがわかりますか?

華やかでありながら、どこか冷たくて、危険な香りのするユディト。
彼女を“花”で表現するという今回のテーマに、ワクワクです。

貴子先生は、持ち帰ることなど一切考えていません。
作品をどう美しく仕上げるか、それだけに集中するスタイル。

今回は、そんなレッスンの記録とともに、
クリムトの描いたユディトの物語、
そして「花で物語を紡ぐ」という体験を綴っていきます。

アートと花が交差する、少し濃密な時間。
よろしければ、どうぞ最後までお付き合いくださいね。

ユディトはなぜ男の首を手にしているのか

レッスンのタイトルとなったのは、グスタフ・クリムトが1909年に描いた《ユディトII》という絵画です。
艶やかな黒髪、鋭い視線、そして手には男性の首――美しくも不穏な空気をまとったこの女性は、旧約聖書外典に登場するユディトです。

《ユディトI》というからには、勿論Iもあって、私はIの方が華やかで好きです。

物語の舞台は、敵軍に包囲され絶望的な状況にあったユダヤの町。
ユディトは美しく装い、敵将ホロフェルネスをひとりで訪ね、酒で酔わせ、そして彼の首をはねます。
その首を町に持ち帰り、民を救った英雄的な女性でした。

クリムトはこの物語を独自の感性で描き出しました。
特に《ユディトII》では、官能的な美しさの中に冷たさと力強さが感じられ、観る者の心を強く揺さぶります。

モデルとなったのは、クリムトの代表作にも登場するアデーレ・ブロッホ=バウアーとされ、ただの宗教画ではなく、画家の理想と欲望が重ねられた存在として描かれているとも言われています。

強く、そして美しい。
花でこのユディトの気配を表現するというテーマは、挑戦でもあり、創作の醍醐味でもありました。

美しさにすべてを捧げる構成力

貴子先生は花の配置を事前に描くことはなく、アウトラインも取られません。先生はすっと中央に咲いた芍薬を差し込みました。いつものように、どうなるのか全く想像がつきません。



実は、貴子先生にもわからないらしい。。。。笑

今回使われた芍薬は、すでに花開いた状態を仕入れてきました。一般的に咲いた芍薬は、すぐに花びらを落とすため、贈り物や日持ちを重視する用途には不向きです。でも、私はこの時期に芍薬を使いたかったし、開花した状態の作品が見たかったので、散ることはお伝えしてこれを使用していただきました。

芍薬の花が散る様子は「こぼれる」と表現されるそうです。その言葉通り、優雅に、静かに、命の終わりへ向かうその姿になんだか「ユディト」がぴったりの気がしました。

私は、花屋としてオルエローズのカラーというか、勿論私が好きなお花を作りますが、やはり万人受けを考えるから、この自由な発想でお花を作るというのはフラワースクールの学生やまだまだ駆け出しの時だった気がします。

だから、余計にこのレッスンの自由さが私にとっても面白い所です。


花が語る女性像

今回の花材は、どれもちょっとクセのある難しいものばかり。

芍薬は、豊かに咲く姿とともに、散り際に残す余韻の深さで印象を残しました。
オンシジウムは、一般的な黄色ではなく独特な色合いのもので、細く美しい姿はクリムトの作品にぴったりな気がします。
テッセンは線の美しさが際立ち、鋭さと柔らかさが同居するような存在感を放っていました。

ころんとした形が可愛らしいステルンクーゲルは、心の奥に潜む純粋な感情を思わせます。
カンパニュラとベロニカは、優しさや透明感を、野趣あるブルーベリーの枝葉は自然の力強さを感じさせました。

そして最後に加えられたのがヒカゲノカズラ。貴子先生はこれを、ユディトの身体の曲線をイメージして使われたそうです。その意図を聞いて、ステキ!と思いました。
絵画を花で描き出すような素敵時間を私が独り占めです。


光と影が引き立てる、絵画のような構成

作品が完成したとき、その全体像にびっくりするほどのかっこよさ。
ただのフラワーアレンジメントという言葉では収まらない、まるで古典絵画の中から抜け出したかのような空気が漂っていたのです。

いつもはレースのカーテン越しにやわらかい光を取り入れて撮影するのですが、黒のベニヤ板を背景にしたスタイルです。

この黒い背景によって、花々の色、質感、ラインが浮かび上がり、全体に深い奥行きと陰影が生まれました。
そのとき私の頭に浮かんだのが、「ダッチアンドフレミッシュ」の絵画でした。

ダッチアンドフレミッシュ様式とは、17世紀頃のオランダとフランドル地方(現在のベルギー)で盛んに描かれた絵画様式です。
とくに静物画においては、深い黒背景に、花や果物、器物などがまるで浮かび上がるように描かれ、光と影のコントラストが強く、重厚で劇的な印象を与えるのが特徴です。

長く暗いオランダの冬でも、この絵を飾ることで家に華やかさを出すというもの。

一輪一輪の花に意味が込められ、生と死、豊かさと儚さが同時に語られているような、静かながら強い世界観を持っています。

今回のアレンジメントはまさにその雰囲気に近く、黒いスタイリングボードがピッタリでした。

どの角度から見ても絵になる。写真を撮りながら、時折息を止めてしまうような瞬間が何度もありました。

2人で、作品の完成など述べるのですが今回は大きくて床に置いたので2人ともしゃがんだ状態のレポート。笑 これは、初めてのパターンだったかも。


持ち帰りは想定外。それでも作品は、生き続ける

撮影を終えたあと、さあこれをどう持ち帰るか、という問題がやってきます。

なにせ、器も花も想定を大きく超えるボリューム。
とはいえ、貴子先生は何の動揺もなく、大きな袋をすっと取り出されました。
その袋はどんなに大きいいかというと、なかなかこれは売っていません。布団用のレジ袋なんです。

いつも、「重い」とか「大変」とか言われたことないです。本当にガテン系です。

電車でご自宅のサロンへ戻られたのです。
道中、どれほど注目を集めたことでしょう。
しかし、そんなこと、全く気にしないであろう「THE 貴子です」

その日の夜、先生から動画が届きました。
大きな作品をサロンに置いた時の様子を、撮影されたものでした。
澄んだ声でお話しされている様子が、見ているこちらまで自然と頬が緩んでしまいました。

動画はこちら⇦

花はその場所に根を下ろした瞬間から、空間の空気を変えていきます。
OR ET ROSEではアートのように、サロンではインテリアとして。
花が生き生きとします。

花が語る、女性の強さと美しさ

ユディトのように、ただ美しいだけではなく、内に意志を持つ存在。
今回の作品には、そんな女性像が重なって見えました。

中央に堂々と咲いた芍薬、しなやかに流れるヒカゲノカズラ、黒背景に浮かぶ花たち。
そこには、強さと儚さ、静けさと緊張感が共存していました。

ダッチアンドフレミッシュの絵画のように、光と影をまとったこの作品は、
花で描く“ひとつの物語”でした。

そして花は、時間とともに変化していきます。
その変化もまた、美しさの一部。

この日も、レッスンは、アレンジメントを超えた、ひとつの作品制作でしたね。


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レッスン開催日は1日6名限定となります。
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世田谷区奥沢3-32-8-2F
info@oretrose.com
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