No.24 ハート (HEART)のガイド
ハートは“感情”の象徴──カードの基本的な意味
ルノルマンカードNo.24「ハート」は、その名のとおり、心そのものを表すカードです。
恋愛や愛情に関する質問をすれば、真っ先に登場してほしいカードでもあり、私たちが「好き」という気持ちに素直になることの大切さを、優しく思い出させてくれます。

【ハート】のキーワード
- 愛
- 情熱
- ロマンス
- 寛大さ
- 愛情表現
ルノルマンカードの中でも「ハート」は、特にストレートに感情を語るカードです。
恋愛・結婚に限らず、家族や友人、ペットとの心のつながり、あるいは何かに夢中になっている状態も示します。
つまりこのカードが出たら、そこには「心からの愛」や「心のこもった何か」があるというサインなのです。
恋愛の象徴だけではない
「ハート」と聞くと多くの人が恋愛を思い浮かべると思いますが、ルノルマンのハートはもう少し広い意味を持っています。
- 自分の人生にとって大切な人
- 心を開ける相手
- 好きなもの・夢中になれる活動
- 感謝や共感など、心のやりとり

愛という言葉が指すのは、人との関係だけではありません。「今、自分がしていることを心から愛しているか?」という、内なる問いかけにもつながります。
「感情のカード」であり、「関与」のカードではない
このカードは、誰かと「深く関わること」や「パートナーシップそのもの」を表すわけではありません。
むしろ、“関係の中で生まれる感情”のほうに焦点を当てています。
ですから、たとえば相手との「契約」や「安定」を知りたければ、指輪(No.25)や錨(No.35)のカードの方がふさわしいのです。ハートは、その関係に愛情や情熱があるかどうかを教えてくれる存在なのです。
ハートが示す「心の状態」
- ドキドキする気持ち
- 大切にされている実感
- 相手へのやさしさや思いやり
- 愛されたいという願い
- 好きという想いに素直になること

「この気持ちは本物?」
「私はこの人を愛しているのかな?」
そんなとき、ハートのカードは、迷う心にそっと灯をともすように出てくることがあります。
トランプのハートのキングとルノルマンのつながり
ルノルマンカードには、それぞれのカードにトランプのスートと絵札が対応しています。
No.24「ハート」は**ハートのジャック(J)**が該当し、一見すると「キングじゃないの?」と思う方もいるかもしれません。
ですが、トランプの「ハートのキング」のイメージ──理想的な愛情深い人物像──が、ルノルマンのハートのカードにも深く影を落としているのです。
ハートのジャックが象徴する人物
トランプのハートのジャックは、若く純粋なロマンチストの象徴。
優しさと愛情、夢見る気持ちを持っていて、情熱的で、時には繊細。
金髪やライトブラウンの髪色で描かれることも多く、感受性が豊かなタイプとされます。

ルノルマンカードにこのジャックが重ねられたのは、「恋に落ちたときの感情」や「純粋な心のときめき」という要素をより強く伝えるためなのかもしれません。
では、ハートのキングとは?
トランプのハートのキングは、成熟した愛を体現する大人の男性像です。
- 包容力がある
- パートナーを大切にする
- 誠実で穏やか
- 感情を抑えつつ、しっかりと守る強さがある
- 恋愛だけでなく、家族や人間関係を全体的に大切にする
ルノルマンの実際の「ハートのカード」ではジャックがトランプ記号として印字されていますが、キングのような人物を指すことも多いのです。
特に「ハート+紳士(No.28)」や「ハート+百合(No.30)」のような組み合わせは、まさにキング的な“愛を育てる人”の姿が重なります。
恋愛リーディングにおける象徴的な働き
「この人は私のことをどう思ってる?」
「彼にとって私はどんな存在?」
そんな問いかけの中でハートのカードが現れたとき、
それが彼自身(男性クライアント)を表すこともありますし、
もしくは“心の中にいる特別な誰か”を象徴することもあります。
以下のような読み方が一例です:
- ハート+淑女 → 彼は彼女を愛している
- ハート+蛇 → 愛はあるが、裏がある
このように、ジャック=若さ、キング=成熟、というイメージを併せ持って読むことで、ハートのカードはより深みのある意味を持ちます。
ハートは「誰か」を指し示すことがある
ハートは、単に気持ちを象徴するだけでなく、リーディングに出てくる“登場人物”のひとりとして描かれることもあります。
- 恋愛関係においての「もう一人の相手」
- クライアントの心を占める「今は会えない人」
- 優しく情熱的な人物(特に男性)
たとえば、ハートが「蛇」と並ぶと、「もう一人の女性の存在」「三角関係」がほのめかされることがあります。
また、「ハート+道」のような組み合わせは、どちらを選ぶか迷っていることを意味する場合もあります。

恋愛リーディングにおけるハートの働き
恋愛においてルノルマンカードの「ハート」は、まさに主役。最もよく登場する質問のひとつが「この人は私のことをどう思っている?」というものです。
このとき、「ハート」が出れば、その答えは大きく前進します。
ハートが示す恋愛の状態
- 両想い、気持ちが通じている
- 愛情がまだ生きている
- 恋の始まり、または恋心の高まり
- 愛されている実感
ただし、他のカードとの組み合わせによって、恋愛の状態はさまざまに変化します。
よくあるコンビネーション例
- ハート+騎士:新しい恋の始まり、愛の告白
- ハート+蛇:嫉妬、愛に潜む裏切りや三角関係
- ハート+棺:失恋、気持ちの終わり
- ハート+指輪:結婚、パートナーシップの確立
- ハート+道:恋の選択、複数の相手に心が揺れる
ルノルマンカードは現実的です。夢見がちな解釈よりも、今ここにある「感情の動き」や「人間関係のリアル」を描き出します。
その中でも「ハート」は、相手の本音を読み取る鍵。表面上のやさしさだけでなく、その奥にある“真心”を探る指針になります。

仕事・人生に現れる“情熱のハート”
恋愛のカードと思われがちなハートですが、実は「人生における情熱の方向性」を見る上でも重要な意味を持ちます。
ハートが仕事の質問に出た場合、それは「心から好きな仕事をしているか?」という問いかけともなります。
仕事に出た場合の例
- ハート+狐:仕事への情熱だが注意が必要(策略や不正)
- ハート+星:夢を持って進める仕事、ライフワーク
- ハート+魚:経済的にも成功する愛あるビジネス
- ハート+熊:支援者からの愛あるサポート、リーダーシップに情熱を注ぐ
自分の「好き」という感情に正直に働くことで、結果として経済面にも豊かさがもたらされる──それがこのカードの隠れたメッセージです。
健康とハート──文字どおり「心臓」を意味するカード

身体のことを占ったとき、ハートはまさに”心臓そのもの”を象徴します。
- 心臓の健康状態
- 心拍の乱れ、鼓動の速さ
- 情緒のバランス
健康に関する組み合わせ例
- ハート+木:心臓の不調、カルマ的な感情負荷
- ハート+棺:心停止や深い落ち込み
- ハート+雲:感情的ストレス、心が不安定
また、「心から楽しむことを忘れていませんか?」という精神面からの問いかけとして出ることもあります。
“心を使って生きる”というメッセージを受け取ってみてください。
スピリチュアルな“心臓信仰”とのリンク
ルノルマンカードのハートは、スピリチュアルな世界とも静かに共鳴します。特に「心臓」そのものを神聖視する文化や信仰は、深く私たちの魂の記憶に根付いています。
ヨーロッパ王家に見る“心臓埋葬”の風習
ヨーロッパでは、中世から近代にかけて「心臓を特別に埋葬する」という文化がありました。これが“心臓信仰”の現実的な表現です。
代表的な事例:
- イングランド王 リチャード1世(獅子心王):心臓を別の場所に納めたことで有名
- フランス王 ルイ9世:心臓と身体を分けて埋葬
- ハプスブルク家:歴代の王が心臓のみを特別な礼拝堂に
- バイエルンのヴィッテルスバッハ家:心臓はアルトエッティングの“黒いマリア”の向かいにある礼拝堂へ

これらの事例は、心臓が「信仰・感情・魂の座」として特別に扱われていた証拠といえるでしょう。
カードの実践活用──ハートを引いたらどうする?
カードリーディングでハートが出たとき、すぐに「恋愛!」と決めつける前に、少し立ち止まってみてください。
自分に投げかける質問
- 今、心から好きなものは何?
- 自分の気持ちに正直に生きている?
- 誰かを愛する前に、自分を愛している?
ハートは、感情に寄り添い、優しく整えてくれるカードです。心を閉じてしまっているときにも、「もう一度、心の声を聞いて」と呼びかけてくれているようです。
まとめ──愛を中心に据えて生きること
No.24「ハート」は、恋を教えるカードではなく、“愛を生きる”ことを促すカードです。
私たちが忙しさに流されて「好き」や「ときめき」を忘れそうになっているとき、ふっと現れて、その感覚を思い出させてくれます。

心を閉じずに、愛とともに人生を歩む──それは、誰にでもできるけれど、忘れやすいこと。
ルノルマンカードのハートは、そんな「魂の中心」にそっと灯る、小さなキャンドルのような存在なのかもしれません。
「愛は特別な人だけのものじゃない。 “好き”と“心の声”を聞くこと、それがもう立派なスピリチュアル。」
コメント