どうなる?からどうする?へ
はじめに 〜初級コース修了後のステップ〜
カードを読むとき、つい未来を知りたくなりますよね。
でも、ルノルマンカードは「未来を決めるための道具」ではなく、「未来を自分で選ぶためのヒント」をくれるもの。
今日は、生徒さんたちの実際のリーディングとともに、カードとの向き合い方についてお話しします。
初級コースを終えた生徒さんたちは、その後もLINEでリーディングを送ってくださることがあります。これは課題ではありませんが、「やってみました」と自主的に届けてくれる方が多く、その姿勢にいつも感心しています。
ルノルマンカードは、ただ知識を覚えるだけでなく、自分で何度も引いて、言葉にしてみることが大事。誰かに伝えようとすると、カードの見え方も変わってくるものです。

リーディングに「正解・不正解」はないけれど
カードの読み方にはひとつの正解があるわけではありません。人によって感じ方も違うし、使う言葉もさまざまです。私は「間違いです」とは言いません。でも、ときどき「ちょっとズレてるな」と思う読み方に出会うこともあります。
そのズレは、カードの意味を知らないからではなく、まだ自信がない状態で読んでいることが多いです。「これで合ってるのかな?」と迷いながら読むと、どうしても本質が見えにくくなってしまうのです。

なぜ「自分のこと」ばかり占ってしまうのか?
学びはじめの頃は、つい自分のことをカードに聞いてしまいます。「こうしたらどうなる?」と未来を占いたくなる気持ち、よくわかります。
でも、自分のことは一番感情が入りやすいので、客観的に読むのがとても難しいです。希望や不安が読みを曇らせてしまい、本来のメッセージが受け取りにくくなることがあります。
未来は「選ぶ」もの。だからこそ、問いが大切

未来というのは誰かに決められるものではなく、自分の選択で変えていくもの。
カードは、決まった未来を言い当てるためのものではありません。
本当に大切なのは、「どうしたいか?」という気持ちと向き合うこと。
その上で、「じゃあ、どうすればそこに近づけるのか?」をカードに問いかけていくと、読みが深まっていきます。
カードに聞く「問い」の立て方で、受け取るメッセージは大きく変わります。
たとえば「このまま進めばどうなる?」と聞くのと、「こうしたいと思っているけど、何が必要?」と聞くのとでは、展開されるカードの意味合いも、見えてくるヒントも違ってきます。
問いがあいまいだったり、漠然としていると、読みづらさを感じることがあります。
逆に、自分の中である程度方向が定まっていると、カードのメッセージもすっと入ってきやすくなります。
未来は誰かから与えられるものではありません。
だからこそ、「どうなりますか?」ではなく、「こうなりたい」と自分の意志を持つことが、カードリーディングを深める第一歩だと思っています。
他者をリーディングすることで開く“本当の感覚”
自分を読むだけでは見えてこないことが、人を読むことで見えてくる。
これは、実際にリーディングをたくさん重ねた人ほど実感することかもしれません。

目の前にいる人のことを思い浮かべながらカードを引くとき、そこには自然と真剣さや集中力が生まれます。「どう読もう?」ではなく、「この人にとって何が必要だろう?」と考える時間になるのです。
相手の立場に立つことで、カードの見え方が変わることもあります。
同じカードでも、自分のときと、人のときでは、まったく違うメッセージが浮かんでくることがあります。
それは、カードが「その人の幸せを願う気持ち」に反応してくれるからだと思います。
緊張してうまく言葉にできないこともあるかもしれません。
でも、その緊張は大切なもの。自分の読みを相手に伝えるという行為は、ひとつの小さなチャレンジです。そしてそのチャレンジこそが、リーディングの感覚を育ててくれます。
リーディングは、自分の世界を広げてくれるものです。
だからこそ、怖がらずに誰かのためにカードを引いてみてください。
その中で、気づかなかった自分の力や、カードからの新しいメッセージに出会えることがきっとあります。
実際のリーディング紹介とフィードバック
ここでは、実際に生徒さんから送っていただいたリーディングを、紹介しながらフィードバックしていきます。
間違っている・間違っていないという話ではなく、問いの立て方や表現の仕方を少し工夫するだけで、もっと相手に伝わりやすくなることがあります。
こうして実例を見ていくことで、「どう伝えるか」という部分のヒントになればと思っています。
車検についてのリーディング
ご質問:
「来週、車の5年目の車検があります。どこかトラブルはありますか?」
カード:
錨・ゆり・蛇

生徒さんのリーディング:
「安定した乗り心地で優雅な気分で長く乗れますよ」
私のフィードバック:
言葉としてはきれいだし、前向きなリーディングをしたい気持ちは伝わってきます。ただ、この読み方だと、まるで「予言」になってしまっていて、相手がどう行動したらいいかというヒントがありません。
このカードの中では「蛇」が少し気になる存在です。
蛇は、トラブル・遅れ・隠された問題などを示すこともあるので、そこに少し触れてあげると、ぐっとリーディングが現実的になります。
たとえば、
「蛇のカードが出ているので、見えないところに問題があるかもしれません。今回は慎重に点検してもらうと安心ですね。」
というように伝えると、カードの意味も伝わり、相手にとっての行動の指針にもなります。
値上がりと家計の不安についてのリーディング
ご質問:
「新年度でいろいろなものがまた値上がり。家計が厳しくなるけれど、どのような心づもりでいたらいいですか?」
カード:
熊・子供・クローバー

生徒さんのリーディング:
「明日からの新しい財政のスタート、ボスの意見に従って小さなことからコツコツと積み重ねていくことが大切です」
私のフィードバック:
まず、しっかり文章にまとめてくださっている点、とても丁寧で素晴らしいです。ただ、「ボスの意見に従って」という部分が少し唐突に感じます。読む側にとって「ボスって誰?」という疑問が残ってしまい、イメージが伝わりにくくなってしまうんですね。
熊はたしかに「力」や「影響力のある人物」という意味もありますが、それだけでなく「財産」「貯蓄」「経済力」として読むこともあります。
子供は「はじまり」「未経験」「初心者」など。
そしてクローバーは「小さな積み重ね」や「ハッピー」時には「ギャンブル」を表します。
この3枚から読むなら、こんな読み方もできます。
「お金の初心者として、これからの変化に合わせて少しずつ学んでいくといい時期です。例えば『新NISA』のように、100円から始められるものもあるので、身近なことから調べてみましょう」
このように、具体的な例を出すと、ぐっと伝わりやすくなりますし、アドバイスとしての実感が生まれます。
生徒さんたちのリーディングには、その方の視点や優しさが込められています。
そこにほんの少し、言葉の置き方や視点の変化を加えるだけで、リーディングはさらに深く、伝わるものになります。
これからも、こうした実例をご紹介していくことで、学びのヒントにしてもらえたら嬉しいです。
おわりに:もっと自由に、もっとのびのびと
カードリーディングは、最初のうちは「これでいいのかな」と不安になることが多いものです。特に、誰かに伝えるとなると、言葉に迷ったり、間違っていたらどうしようと感じたりします。
でも本当は、もっと自由でいい。
カードの絵を見て、感じたことを素直に言葉にするだけでも十分価値があります。

教科書通りに読まなきゃ、正しく訳さなきゃ、と思いすぎると、自分の感覚がどんどん閉じてしまいます。
リーディングは“読み解き”ではなく“つながり”です。カードと、そしてその先にいる人と、どんなふうにつながれるか。それが一番大切なことだと思っています。
初級講座を受けてくださった生徒さんには、リーディング内容を送っていただければ、いつでも私が見させていただきます。
自信がつくまでは、どれだけでも見ますので、もしご負担がかからないようでしたら、毎日でもLINEで送ってください。短い一言でも大丈夫です。カードを引いて、感じたことをシンプルに言葉にしてみるだけでも、続けていくうちに大きな力になります。
大事なのは「上手く読もう」とすることではなくて、「誰かの役に立ちたい」「今の自分を知りたい」という気持ちでカードと向き合うこと。
リーディングは、回数を重ねることで少しずつ自分の中に芯ができていきます。
だから、焦らず、比較せず、自分のペースで育てていってほしいなと思います。
これからも、実例や学びのヒントになることを、このブログでシェアしていきますね。
カードを読む時間が、誰かにとっても自分にとっても、心地よいひとときになりますように。
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